4年前の後悔私が思いきって学校に電話を入れると、 確か教頭先生が出られたと思います。 私は、正直に彼女が今うちに来ていること、 彼女をどうして親に連絡せずに預かっているのか、 私が見た彼女のスカートの中のあざのこと、 全て話をして、どうしたらよいのか相談しました。 どうやら、親からの連絡はまだなかったように記憶しています。 学校側は、後でどうしたらよいか、私に連絡してくると言われて電話を切りました。 結果は、親に連絡をとって事実関係を尋ねたところ、 彼女の言うとおりだと認め、母親に行きすぎがあったけれど、 反省をしていて、これから親戚の人が付き添って迎えに行くから 返してほしいとのことでした。 私は、なんだか釈然としない感じがしましたが、 そう言われて彼女を返さないわけにはいきません。 彼女は夕飯の途中でしたが、迎えに来た母親と親戚のおじさんに 連れられて、しょんぼりと帰っていきました。 もちろん、家の人は、今回彼女のしたことで責めることは絶対しないし、 今後母親にこのようなことをさせないようにすると 話はされていましたけれど、 私は帰っていく時の、彼女の悲しそうな顔が忘れられませんでした。 それからずっと、これで本当によかったのかと何度も心に問いかける 日々が続きました。 その後、彼女はまたお母さんとうまく行かなくて、 一時おばあさんの家に引き取られました。 それを彼女から聞いた時は、正直ホッとしましたが、 また自宅に戻ったと聞いてからは、ずっと大丈夫なのかと 気にかかっていたのです。 でも、表立った事件はなく、彼女は小学校を卒業し、中学に入りました。 そして、この3月のはじめ頃まで、彼女は私を見かけるたびに 笑顔を送ってくれていたのです。 私が、彼女に異変を感じたのは、中2最後の参観日に 学校を訪れたときのことでした。 げた箱のあたりで、ばったり彼女と出会った時、 彼女の目の上が紫色に腫れ上がっていたのです。 私が、「どうしたん?」と聞くと、 彼女は、「うん、こけてん・・・」としか言いませんでしたが、 私は、家の人にされたのではととっさに思ってしまいました。 あれから、4年。 もしかして、やはり彼女の生活は変わっていなかったのだろうか。 そんな心配がよぎる中、彼女は突然私のところにやってきたのです。 <つづく> |